隣の体がもたれかかってくる。ごめん、うっすら聞こえたかすれ声が意識の無さを物語っている。体温がゆっくりと、静かに落ち着き、下がってゆく。

「ごめ……ん…」
「寝るならさっさと寝ろ…」
「う……ん…」

 小さな頭が肩に乗る。今日はやけに起きていると思ったが、こんなに粘ってどうするつもりだったのか。
 不安定な頭部が揺れて肩から落ちそうになる。手で支えてやると眠り辛そうに瞼が二、三度動いた。こんな寝難い場所を選ぶお前の所為だ。

 自分の膝にそっと衝撃を与えないように下ろす。位置が変わったことを薄ら開けた目で見て落ち着いたのか、何も言わずまた瞼を閉じた。いつもこのぐらい黙って大人しくしていれば良いものを。

 女の様に柔らかくない膝に擦りよって来るアヤ。寝ながら器用な奴だ。顔にかかる髪を払いのけてやる。穏やかな顔をしたの静かな寝息が聞こえる。


真夜中の戦場で


手は自然と髪を撫でていた。深夜中、飽きることなく。


End